襖の名称襖 FUSUMA襖の語源は、平安時代の掛布団だった衾(ふすま)を拡げたような格好に由来するといわれています。襖は俗に唐紙ともいわれますが、これは中国から渡来した唐紙を上貼して唐紙障子と呼び、やがて唐紙と縮めて用いられるようになったのです。室町時代になると、無地の布や紙を貼ったものを襖、紋や柄があるものを唐紙と区別して呼んでいたようです。構造的に、現在の障子(明かり障子)と襖とは、大した相違はありません。襖の場合、紙を幾重にも重ねるため補強が必要な場合があるのに対して、明かり障子は、構造材がそのまま仕上げ材になるために下地処理ができないだけの相違です。いずれも、組子は表・裏を交互に組上げて、はなれにくい構造としています。最近では、このように組子構造のものを「和襖」と呼び、フラッシュ構造「戸襖」、ベニヤ2枚を縁に組込んだ「板襖」、ダンボール等の均質構造材を使った「量産襖」等と区別しています。76折合釘一般に竪縁は折合釘(合折釘・曲折釘ともいう)を8本使って取付けます。写真は簡易取付型の木ネジを使ったもの。引手引手板の上に押貼りまたは上下方向に釘で固定します。形状は、円形・楕円形・角形・短冊形・菊丸形等が一般的ですが、扇形・月の字形等の変形が使われることもあります。化粧縁(上縁)下地骨の組子に釘打ちし、竪縁とは枘差しますが、高級なものは、鎌枘または蟻枘で落とし込みます。化粧縁(下縁)下地の組子に釘打ちし、竪縁枘差しますが、高級なものは、鎌枘または蟻枘で落とし込みます。化粧縁(竪縁)上下縁と合わせ、化粧縁または化粧框といいます。中央で召分になる部分に取付けるものを定規縁といい、両面につける両定規縁、片面に付ける(主室側)片定規縁があります。化粧縁は檜・朴等に漆塗等をした高級品、杉柾・檜・スプルース等を使った素地縁、米杉・エゾ松等にカシューを塗ったカシュー縁、最近では構造材を三方からかぶせるようになったプラスチック縁等も使われています。上貼紙の全面に薄い糊を付け、シワができないように刷毛で強く貼りしめます。この下に袋貼り、表貼り、蓑貼り、ベタ貼り、そして組子に接する骨縛りと幾重にも重ね貼りされています。
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